小児の救急疾患「子どもの急な病気やケガ、どうすればいい?」

救急科

伊藤 友弥/救急科医長

この記事の内容

小児救急とは?

子育てをしていると、子どもの急な発熱、下痢、嘔おう吐と 、腹痛、頭痛などに困る場面に、どのような親でも必ず遭遇します。屋内や外出先でケガをして、対応に困ることもよくあります。また、子どもが不機嫌だったり、食欲が落ちていたりするなど、はっきりとした原因(病気なのか、ケガなのか)がわからないことも多く、対応に困ることもあります。

そのような際に医療機関を受診するときの窓口が、救急になります。当センターの救急では、病気(内因性)でもケガ(外因性)でも、あるいはご自身での受診でも救急車での搬送でも、「子どもの急な変化」があれば受診していただき、対応できるような体制をとっています。

救急に受診すべきか、迷うときの判断は?

自宅で調子が悪くなった子どもの様子をみているのは、とても心配になるものです。受診してみようと思うような変化があるのでしたら、受診をお勧めします。ただし、いざ受診しようとすると、なかなか大変であることも事実です。

当センターでは、自宅でお子さんの様子を見るときのポイントをまとめてホームページに掲載していますので、ご覧ください。

また、日本小児科学会でも「こどもの救急」というサイトを立ち上げていますので、受診の参考にするとよいと思います。

さらに、都道府県では子どもの救急医療相談窓口である「#8000(子ども医療電話相談)」も用意しています。すぐに受診したほうがよいのか、翌日の小児科外来まで待ってもよいのか、などを迷うようでしたら、「#8000」に電話し、相談してみてはいかがでしょうか。

救急に受診する必要がある状態は?

救急へ受診する際には、いつから、どのような症状があり、どのような対応をしたのか、などの症状の経過を簡潔に教えていただくと、診療がスムーズに進みます。また、症状以外の食欲、排泄(はいせつ)(おしっこやうんちの量、性質と状態など)の状況、周囲の感染症の流行状況なども、診療の際には参考となります。さらに、母子手帳をお持ちいただくと、ワクチンの接種状況も把握できますので、大変助かります。

小児の救急診療では、さまざまな緊急度・重症度の病気やケガに対応しています。そのため、「院内トリアージ」という、受付後に緊急度の判定を行うことがあります。当センターでは、トレーニングを受けた看護師が院内トリアージを行っています。緊急度に応じて、診察の順番が変わることもありますので、ご理解をお願いいたします。

診察が終わり帰宅された後も、症状はしばらく続くことが予想されます。そのため小児の救急では、自宅でどのように継続的なケアを行っていただくか(ホームケアといいます)、という点をお教えすることも重要な役割だと考えています。

「どのような症状が、どのくらい続いたら、どのように対応するのか、そして、どのようになったらあらためて受診するのか」をご理解いただくことは、お子さんを養育している皆さんの安心にもつながりますし、次に同じような症状が出た際の、正しい対応につながると考えています。

診療科紹介

当科で扱う主な疾患

子どもの急性疾患(内科系、外科系は問いません)

  • 内科系(急に発生した発熱、腹痛、頭痛、下痢、呼吸苦、けいれんなど)
  • 外科系(けが、やけど、誤飲など)
  • その他(急な不機嫌、泣き止まないなど)

当科の特色

  • 24 時間365 日、小児救急のトレーニングを受けた医師が診療に携わっています。
  • 単純な時間外診療ではなく、病気やケガの区別をせずにまずは診察を行い、緊急性の高い病気・ケガではないかの判断をしています。
  • 専門診療科と連携し、救急の場面で必要な適切な対応を行っています。
  • 院内だけではなく、地域との連携も行い、重症な小児の搬送、災害対策、救命士教育なども積極的に行っています。
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