尿検査で異常があると言われました。本人は元気で普段と変わりないのですが?
早期に治療が必要な場合もありますので、小児の腎臓(じんぞう)専門医にご相談ください。
本人が元気でも、腎臓の病気が見つかることが本当にあるのでしょうか? 実は子どもの腎臓の病気の中には、学校検尿や偶然の機会に発見されるものが少なくありません。そのような場合には本人は元気で、親から見ても病気があるようには見えないことも多々あります。「わざわざ学校を休ませて、親も仕事を休んで病院を受診しないといけないのだろうか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし症状がなくても、早期に治療が必要な病気が見つかる場合もあります。まずはしっかりと見極めるためにも、小児の腎臓専門医への受診をお勧めします。検査の結果、すぐには問題ないことがわかった場合にはひとまず心配しなくても大丈夫ですが、定期的な検査の継続を勧められることもあります。そのような場合には、担当医の指示のとおりに受診することが大切です。
本人が元気で病気には見えないような早期に病気をみつけて、早期に治療することが腎臓の病気では大切です。そのために学校検尿などの尿検査が行われています。
治療が必要と言われました。スポーツは続けられるのでしょうか?
病状が安定していれば、多くの場合はスポーツをがんばっても大丈夫です。
腎臓の病気になっても好きなことを続けられるのでしょうか?実際のところ、当センターに通院中の腎臓病のお子さんの多くはスポーツを楽しんでもらっています。病状によっては一時的に激しい運動を控えてもらうこともありますが、治療が軌道に乗って担当医が大丈夫と判断すれば、運動にも積極的に参加することができます。
昔は今のような治療がなく安静にするしかなかったために、運動を控えたり体育の授業は見学したりするように指示された時代もありました。ですが現在は治療も良くなり、多くの腎臓病のお子さんにも体育の授業だけでなく、夏のプールや運動会、運動系・文科系を問わず、課外活動にも積極的に参加してもらっています。
病気の治療のために好きなことをお休みしないといけない、ではなくて、好きなことができるようになるために治療を行う、私たちはそのように考えて治療に取り組んでいます。
子どもが慢性の腎臓の病気です。学校や将来はどうなるのでしょうか?
本来のそのお子さんらしい日常生活や学校生活のためには何が大切か、一緒に考えていきましょう。
慢性の腎臓の病気で治療を受けながら、元気に学校へ行って遊んだり勉強したりして、将来、立派な大人になることはできるのでしょうか? 腎臓の病気の中には、長く上手に病気と付き合っていかなければいけない場合もあります。内服薬や自宅でのケアを毎日続けることが大切なことも多く、負担に感じたり将来が心配になったりすることも少なくありません。
このような長期の治療を考えるときに私たちが大切にしていることは、そのお子さんらしい子供時代を過ごすことができること、そして将来は本来のその人らしい大人になって豊かな成人期を過ごすことができるようになることです。そのために今、本当に必要なことは何だろうかということを、常に念頭に置いて治療の方法を考えていきます。
当センターでは、一般的な検査のほかに超音波検査(写真1)や精密な腎機能の検査、腎疾患の診断に不可欠な腎生検(写真2)などの検査も数多く行っています。
さらに通常の薬による治療だけでなく、腹膜透析(ふくまくとうせき)や小児の腎移植などの高度で専門的な治療まで、幅広く診療体制を整えています。これらの医療を駆使しながら、小児の腎臓専門医が皆さんと一緒にお子さんの治療方針を考えていきます。
診療科紹介
当科で扱う主な疾患
腎炎、ネフローゼ症候群、尿路感染症、急性腎不全、慢性腎不全、先天性腎尿路異常
当科の特色
- 学校検尿などの尿検査で血尿やタンパク尿を指摘されたお子さんや、胎児期から先天性の腎臓の病気を疑われているお子さんなど、さまざまなきっかけで腎臓の病気を発見された、すべてのお子さんを対象としています。
- 出生前の胎児から成人施設へ移行する時期まで、腎疾患をもつお子さんの小児期のすべてのステージを支援します。
- 腎不全、特に慢性腎不全の治療や管理(腹膜透析や腎移植など)に積極的に取り組んでいます。
- 腎臓の病気があっても、本来のそのお子さんらしい子供時代を過ごすことができるよう、常に心がけて診療を行っています。
- 小児期に治療や管理が必要となる慢性の腎臓病では、先天性腎尿路異常と関連があることも多いため、当センターでは、腎臓科と泌尿器科が連携して診療に取り組んでいます。