どんな疾患を診ているの?
当センターの歯科口腔外科(しかこうくうげか)は、子どもの、歯、口腔(口の中)、顎(あご)や口の周りに生じたさまざまな疾患や外傷、あるいは口腔機能(食べる、話す)の障害や気になることについて、診療を行っています。
いくつかの実例を写真で示します(写真1〜7)。
具体的な疾患は、「当科で扱う主な疾患」に記載しています。
* PNAM = presurgical nasoalveolar molding(術前鼻歯槽形成)の略語です。 口蓋裂のある乳児に、哺乳の手助けと上顎の正常な成長を促す目的で、口蓋床(ホッツ床、哺乳床)と呼ばれる入れ歯のような特殊なプレートを装着します。さらに口唇裂がある場合には、PNAM 床を用いて鼻の形の矯正にも挑戦します。
また口腔管理の一環として、歯科衛生士による歯みがき指導なども行っています。
歯や口の管理は本当に大事なの?
不用意な発言や言葉を慎むべきということわざに「口は災いの元」がありますが、歯や口の管理をおろそかにしてしまうと、体の健康に対して「口が災いの元」になってしまう可能性があります。
むし歯( 齲蝕(むしょく))や歯肉炎(歯周炎)によって心内膜炎や敗血症(はいけっしょう)を発症した事例、薬による内科疾患の治療を妨げてしまった事例が子どもにみられます。
また成人においては、脳梗塞(のうこうそく)、心筋梗塞、糖尿病などと密接な関連があることも、近年言われています。
さらに、口腔の異変から全身疾患に気づく(写真8、9)こともあります。
ぜひ、歯や口の管理にも関心を持ってください。
ぜひ、歯や口の管理にも関心を持ってください。
地元の歯科で処置ができないと言われました
子どもにとって歯科治療は、「怖い」「痛い」というイメージが大人よりも強いと思います。治療のために口を開けていることが難しかったり、嫌がって暴れたりするのは当然ともいえます。さまざまな配慮が行われても、やはり、地元の歯科では処置ができないと言われてしまうこともあるようです。
トレーニングからはじめ、処置に慣らすような方法もありますが、疾患や発達と関連している場合や、むし歯の数が多い場合などは、入院全身麻酔下で一度に多数歯の歯科処置を行います。
日頃のチェックや管理は、地元で行っていただくのが理想です。
診療科紹介
当科で扱う主な疾患
- 歯と歯周組織の疾患:むし歯、埋伏過剰歯、歯の萌出遅延、歯肉炎など
- 先天異常:口唇口蓋裂、顎変形症、舌小帯異常など
- 炎症:歯肉膿瘍や顎炎、口内炎や舌炎など
- 外傷:歯の破折や脱臼、顎の骨折、口の中や口の周りのケガ
- 嚢胞・腫瘍:顎の骨、舌、頬粘膜、口唇などに発生した嚢胞や腫瘍など
- その他:顎関節症、睡眠時無呼吸症におけるマウスピース作製、口腔検診、他科手術時の口腔の管理など
当科の特色
- 当科は日本口腔外科学会、日本小児口腔外科学会、日本口腔科学会、日本有病者歯科医療学会、日本障害者歯科学会の研修施設に認定されています。
- 歯科治療から口腔外科疾患の手術まで、子どもの歯や口にかかわる疾患に幅広く対応しています。
- 当科を受診している子どもの70%は、さまざまな内科や外科疾患をもっています。