めざすのは、子どもらしい子ども時代と豊かな成人期です
腎不全（じんふぜん）の子どもは、友だちと同じように遊んだり、勉強したりできるようになるでしょうか？ 治療期間が長く本人やご家族の負担も少なくない中で、病気とともに歩む将来を思い描くことは難しいことでしょう。ですが私たちのチームもお手伝いしますので、お子さんの将来のために何が本当に大切かということを一緒に考えながら、治療に取り組んでいきましょう。ここでは、先天性の慢性腎不全を例にあげて説明します。
藤田直也（ふじたなおや）／腎臓科 あいち小児保健医療総合センター副センタ―長
その子らしい人生を過ごせる支援をめざして、他職種と取り組んでいます
年齢に沿った病気や治療の説明、理解のための支援は、子どもの心と身体の成長や自己肯定を育むことにつながると考えています。病気であっても、それぞれのお子さんの将来を大切に考え、他職種連携を図りながら、支援に取り組んでいます。
池田祐子（いけだゆうこ）／保育士・HPS チャイルドライフ担当
１．健診などで発見から受診まで
学校検尿などの集団健診のほか、最近では妊婦健診で、胎児の腎臓の病気が見つかることも多くなってきています。お子さんは元気で病気があるようには見えないことも多く、ご両親の不安や心配も、とても大きいことと思います。外来の看護師が担当の医師とともに、ご両親をサポートします。
普段の生活のことをお伺いし、治療しながらも自宅での生活が送れるように、一緒に考えていくことを心がけています。好きなこと、頑張っていることなどをお聞きします。
森 千春（もり ちはる）／看護師（外来）
２．詳しい検査から診断まで
詳しい腎臓の検査を行うため、検査入院が必要となることもあります。なぜ検査が必要なのか、どのような検査を行うのかなど、お子さん本人もよく納得できるように、病棟の看護師やHPS も協力して説明し、前向きに検査や治療に取り組むことができるようにサポートします。
３．保存期腎不全 透析を始める前の時期
先天性腎尿路異常（せんてんせいじんにょうろいじょう）のお子さんの場合、泌尿器科の医師に検査や手術をしてもらうことが必要な場合があります。病状に応じて薬による治療を行いますが、お友だちと同じように遊んだり勉強したりしても大丈夫です。看護師やHPS たちが、楽しい遊びのヒントを教えてくれるかも！
４．腹膜透析 自宅で治療しながら学校へ
時期が来たら、腹膜透析（ふくまくとうせき）を行います。就学年齢のお子さんは体育への参加もできますが、プールは入ることができません。この時期は、自宅での毎日のケアや食事の管理も大切です。ちょっと大変で頑張りどころですが、看護師や栄養士もサポートしますので、一緒に頑張りましょう。
味の好みや形態（ミキサー食やきざみ食など）に応じて、食材の選択や調理法を提案しています。「家庭で継続できる食事」を心がけて、必要な栄養管理を行います。
小畑 奈津江（おばた なつえ）／管理栄養士
５．腎移植 移植後は自己管理を
腎移植の準備が整ったら、麻酔科や集中治療科のチームも加わって手術を行います。移植後は生活や食事の制限も軽くなり、プールやスポーツもOK です！そしてこれからは、感染予防や内服薬の継続も大切となっていきます。自己管理ができるようになるために、看護師が中心となってサポートします。
腎移植直後は、移植腎にしっかりと血液が流れ機能しているか、腎臓科とチェックしていきます。また創部の出血が大丈夫か、創部の痛みはしっかりコントロールされているか、体内の水分量は適切かをICU 看護師と一緒に確認して、安全に配慮しながら一般病棟の管理に移行します。
池山 貴也（いけやま たかなり）／集中治療科部長
６．成人移行 そして、自分らしい人生を
ここまで大変な治療を頑張ってやり遂げてきた皆さんには、自分らしい人生を自分で切り開いていく力がすでに備わっているはずです。私たちのチームもサポートしますので、自信を持って大人の世界に一歩踏み出して大丈夫。そこには、皆さんの素晴らしい人生が待っているはずです！
