医療機器のスペシャリスト「臨床工学技士の仕事」

臨床工学室

亀井 祐介/臨床工学室主任

臨床工学技士は、医師や看護師と同様、国家資格になっており、医師の指示のもと「生命維持装置」(人工呼吸器、人工心肺装置、血液浄化装置、麻酔器、保育器、除細動器など)の操作および保守管理を行います。医療の職種で唯一工学を専門に学んでいる、医療機器のスペシャリストです。

この記事の内容

1.小児補助人工心臓治療って?

心臓移植が必要な患者さんに移植が行われるまでの間、心臓の役割を補助する治療です。血管または心臓に直接、管を入れて、ポンプの力で体外に血液を取り出し、再びポンプの力で患者さんに血液を返す、補助人工心臓装置を装着する手術をします。

小児補助人工心臓治療は、手術してから移植までの間、入院する必要があります。

入院期間中臨床工学技士は、手術準備からはじまり術中補助人工心臓装置の操作、術後の使用中管理を行います。

国内で小児補助人工心臓治療ができる病院は15施設(2021年現在)で、東海3県では、当センターが唯一の病院です(写真1)。

補助人工心臓治療
写真1 補助人工心臓治療

2.人工心肺装置って?

心臓外科手術で心臓を止めなければならない場合、もしくは心臓の補助が必要な場合に、患者さんの心臓と肺の役割を代行する生命維持装置です(写真2)。

人工心肺装置の操作
写真2 人工心肺装置の操作

臨床工学技士は術前の多職種カンファレンスに参加し、患者さんの情報をもとに、人工心肺装置に使用する材料、薬品を決定します。当センターでは週に5日、多くの小児心臓手術を行っています。

3.ECMO(エクモ)(体外式膜型人工肺)って?

重症呼吸不全、重症心不全、ショック状態の患者さんに呼吸や心臓の役割を補助する治療で、血管または心臓に直接、管を入れて、ポンプの力で体外に血液を取り出し、温度調節、酸素化(酸素が血液に取り込まれること)、二酸化炭素を除去した血液を患者さんに返す生命維持装置です(写真3)。

ECMO の操作
写真3 ECMO の操作

臨床工学技士は、ECMOの準備から導入介助、操作、使用中の管理を行います。ECMO導入には1分1秒を争う場面があり、ECPR(体外循環式蘇生法)チームの一員として、迅速かつ安全に配慮して治療に取り組んでいます。

この記事をシェアする
この記事の内容