薬剤師は、処方された薬について、正しい用量、正しい服用時間などの確認を行い、安全に薬を提供することが、主な仕事の1つです。
特に小児の薬の用量は、体重や年齢などにより違うため、小児専門病院の薬剤師には、特有な知識や技術が必要になります。
1.内服薬等調剤業務
当センターでは、年齢により錠剤やカプセルを内服できない患者さんが多いため、調剤のほとんどを散剤(粉薬)が占めています。散剤がない薬については、錠剤やカプセル剤を潰すなどして、用量を調節して調剤を行っています。
また、少しの量の違いでも効果が左右されることがあるため、用量には細心の注意を払って調剤を行っています(写真1)。
2.注射薬調剤業務
注射薬払出システムを使用し、すべての注射薬を1人の患者さんごとに施用単位(使用薬剤ごと)に取り揃えて、病棟等に渡しています。その際には、投与量や投与速度、同時に混合してはいけない組み合わせに注意しながら行っています(写真2)。
3.注射薬混注・院内製剤業務
食事から必要なカロリーを取ることができない患者さんのために、クリーンベンチ*等を使用し、無菌的に何種類もの薬剤を混合した高カロリー輸液や、免疫抑制状態の患者さんに使用する注射薬の調製も行っています。
また、治療に有効でも製品化されていない軟なん膏こう剤ざい(ぬり薬)や点眼薬(目薬)などの院内製剤の調製も行っています(写真3)。
*クリーンベンチ 空気中のゴミやホコリ、微生物などが混入・付着しないように管理された、囲いのついた作業台
4.薬剤管理指導業務
患者さんや患者さんのご家族に対しては、使用している薬の効果や副作用などについての説明を行っています。なお、入院時に持参してもらった薬を調査し、医師や看護師等に、内服している薬の情報提供も行っています。
また、外来患者さんを中心に小児患者さん特有の成長ホルモン剤や、喘ぜん息そく患者さんに使用する吸入薬の使用方法などの指導も積極的に行っています。
5.医薬品情報業務
薬について、医師や看護師からの問い合わせに対し調査して回答したり、注意すべき薬の情報等を定期的に「DIニュース」として発行し、センター内に周知しています。
6.治験業務
小児特有の希少疾患に対する薬を中心に、製薬会社からの依頼を受けて、治験を実施しています。
薬剤部では、治験に関する事務的手続きや治験委員会の運営および治験薬の管理等を行っています。