誰しも病気にかかると、不安になるものです。入院生活が始まれば、お子さんもご家族も生活が一変し、どんな治療を受けるのか、学校には行けるのか、将来どうなるのかなど、心配は尽きません。簡単に解決することばかりではありませんが、お話を伺い、気持ちを整理するお手伝いをし、子どもらしい成長発達を支え、病気に向き合う援助をしています。
1.どんなことをしているの?
心療科が行っていることは、リエゾン診療と言われているものです。「リエゾン(liaison)」とは、フランス語で「連携」を意味します。患者さんを取り巻く医療チームの一員として、主治医や看護師をはじめとする多職種と「連携」しながら、体の病気に伴う精神的な問題や、患者さんを取り巻く心理社会的な問題に対応しています(図)。
また、いわゆる「心のケア」といった直接的なかかわりだけではなく、主治医や看護師など患者さんにかかわるほかのスタッフと一緒に問題解決のために話し合い、考えたりして、間接的にもかかわっています。
2.誰と話すの?
心療科には、児童精神科医が1人、臨床心理士(公認心理師)が2人います。患者さん自身やご家族から希望があった場合や、医療スタッフからの依頼があった場合に、3人の中で担当を決めてお話を伺っています。
また、担当の心理士が定期的に病棟を巡回して、患者さんやご家族からお話を聴いています。
3.どんなことを話すの?
特に決まっていません。具体的な相談を受けることもありますが、その時に感じている気持ちや心配なこと、疑問に思っていることなど、自由に話してもらっています。その中で、解決できそうなことについては、該当部署につなぐようにしています。
また、子どもが幼いころには、親や医療者の言われるままに治療に応じても、成長するにつれて病気について知りたいと思ったり、知る必要性が生じたりすることがあります。こうした心の成長を支えたり、子ども自身が主体性を持って治療に参加したりできるように援助するための相談にも乗っています。
このほか、「安心感の輪」子育てプログラム(COSP)を、希望された養育者に行っています(写真)。
子どもは、ネガティブな感情が湧いた際、養育者から気持ちに寄り添ってもらうことで、安心感を得ます。幼い時からこのような体験を重ねることで、自尊感情が育まれます。養育者自身の親との関係を振り返りながら、お子さんとのかかわりを一緒に考えていきます。普段の育児に子どもの病気や入院治療が加わり、悩まれている方に好評のプログラムです。